ならぬ堪忍するが堪忍


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管理人の柿門です。(。・(エ)・。)ノ

今回は、「ならぬ堪忍するが堪忍」をご紹介いたします。


ならぬ堪忍するが堪忍とは

 
「ならぬ堪忍するが堪忍」とは

「どうしても我慢できないところを我慢することこそ、本当の我慢であるという意」

英語:
Patience is a flower that grows not in every garden. 

「堪忍の花はすべての人の庭に咲くわけではない」


ならぬ堪忍するが堪忍のお噺

 
「ならぬ堪忍するが堪忍」のお噺

 
柳田格之進という文武両道に優れ、品性正しく潔癖な浪人が、浅草東仲町の裏長屋に娘のお絹と二人で暮らしておりました。

質屋の万屋源兵衛と気が合い、いつも二人で囲碁の対局をし、終わると酒を酌み交わす仲でありました。

いつものように碁を打ち、酒を酌み交わし、格之進が上機嫌で、帰宅したあとに事件が起きました。

番頭の徳兵衛が集金したばかりの50両が紛失していたのでした。

番頭の徳兵衛は格之進を怪しみ、主人の源兵衛が止めるのも聞かずに格之進の裏長屋を訪れます。


徳兵衛:
「もしかしたら、柳田様ではございませんか?」
 
格之進:
「拙者いやしくも武士である。金などに手を付けることなどないわ」
 
徳兵衛:
「あくまでも知らぬというのなら、奉行所へ訴えますぞ」
 
格之進:
「そんなことになれば、さしさわりが出るから、自分の名は出さないでくれ」
「盗人と疑われて心外だが、明日の昼までに50両用意いたそう」
 
と約束をするも、格之進は、50両もの大金を工面する手立てを持ち合わせてはいませんでした。
 
格之進:
「かくなるうえは、身の潔白を証明するため切腹いたそう」
 
娘のお絹:
「父上なりませぬ。絹が吉原にまいり、50両を都合いたしますゆえ、何卒切腹などお止めくださいませ」
 
後日、約束どおり50両を番頭の徳兵衛に渡す格之進。
 
格之進:
「もし、その50両が現れた場合、その方と源兵衛殿の首を申し受けるがよいか」
 
徳兵衛:
「私も男です。どんなご処分でもお受けいたします」

 
その事を知るやいなや、主の源兵衛は格之進に謝罪するため、番頭を連れて裏長屋に行ってみましたが、すでに柳田は家を引き払った後でありました。

時は過ぎ、煤払いの日、額縁の裏から50両がひょっこりと出てきました。

すぐに源兵衛は柳田様を探しまわりますが見つけることはできませんでした。

年が改まって、年始挨拶の帰りに徳兵衛は立派な侍に声をかけられました。

そう、それは、江戸留守居役に出世した柳田格之進でありました。

源兵衛は正直に事情を話し、必死に許しを乞うのでありましたが。


格之進:
「約束であったな。明日挨拶に伺おう。今日は湯に入って首をよく洗っておくがよい」
 
翌日、源兵衛宅にて
 
主人の源兵衛:
「柳田様の所へお金を取りに行かせたのは私ですから私めをお斬りください。番頭の徳兵衛は何卒お許しくださいませ」
 
番頭の徳兵衛:
「私が主人が止めるのも聞かずに勝手にやったことです。主人は関係ありません。私をお斬り下さい」

と主従でかばいあう。

格之進:
「娘の手前、勘弁などできぬ。二人並べて切り捨ててやるわ」

そうして、床の間にあった碁盤を一刀両断のもと真っ二つにしてしまいました。



娘のお絹に二人を切れなかったことを詫びる格之進でありましたが。

お絹:
「父上のお役に立てたのならよろしゅうございます」

それからというものの、以前よりも柳田と源兵衛は深い付き合いをするようになり、忠義者の番頭の徳兵衛とお絹は夫婦となって万屋へ養子に入ります。生まれた子を柳田が引き取り、家名を継がせるという柳田の堪忍袋のお噺しでございました。


 

以上が「ならぬ堪忍するが堪忍」のお噺でした。

この落語の演目は「柳田格之進」「碁盤割り」「柳田の堪忍袋」と複数の名があります。

昭和の大名人、古今亭志ん生のサゲ
「親が囲碁で争いをしたから、娘が娼妓(将棋)になった」

 



映画「碁盤斬り」

 
この噺を原案とした映画「 碁盤斬り」が草彅剛さんの主演で、2024年5月17日に公開となっております。

楽しみですね。

 
5月17日(金)公開映画『碁盤斬り』60秒予告 - YouTube
 



落語を聞こう

 
古今亭志ん朝さんの動画をHealing Memoryさんのサイトよりご紹介いたします。

志ん朝さんは私が一番好きな噺家さんでございます。

それでは、古典落語の人情噺「柳田格之進」を志ん朝さんの名人芸でお聞きください。

古今亭志ん朝 柳田格之進 (youtube.com)

 


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