素人(アマ)と玄人(プロ)
子供の頃、意味も分からないのに、よく目にしていたのが、「素人(アマ)と玄人(プロ)」という棋書であります。
父が所有していたゴ・スーパーブックスシリーズのうちの一冊であります。
影山利郎先生の著作で、「素人(アマ)と玄人(プロ)」は、棋書で初のベストセラーになったという、うたい文句がとても記憶に残っています。
また、父が影山利郎先生を「かげろくさん。かげろくさん。」と呼んで、影山利郎先生を応援していたのも記憶に残っています。
かげろくさんのろくは、当時、影山利郎先生が六段であったからであります。
影山利郎先生は、アマチュアからプロに転向した経歴なので、素人目線での解説が当時、分かりやすかったのではないかと思われます。
碁石の素材
ところで、唐突ではありますが、碁石の素材をご存じでしょうか?
現在では、白石は、ハマグリ(日向産)、黒石は、那智黒石(熊野産)が名品とされております。
白石は、白いハマグリの貝殻を型抜きして磨くことによりできあがります。
白黒セットで売られる碁石の値段は、白石の厚みと艶によって決定されます。
黒石は、おまけのような扱いになっております。
ゆえに、上位者が白を持ち、下位者が黒を持つことになっております。
白石に、ハマグリが使われるようになったのは、鎌倉時代からといわれております。
素人(しろうと)と玄人(くろうと)
しかし、以前にご紹介した「囲碁の歴史」に記載した、正倉院の宝物の碁石、紅牙撥鏤棊子(こうげばちるのきし)と紺牙撥鏤棊子(こんげばちるのきし)では、黒石の方が高価だとされております。
少なくとも平安時代(紫式部や清少納言の時代)までは、上位者が高価である黒石を持ち、下位者が白石を持っていたといわれております。
「素人(しろうと)」と「玄人(くろうと)」は、白石と黒石が今とは真逆の使われ方をされていた時代の言葉が、現代まで続いていることになります。
面白いものですね。